上高地のそばで迎えた朝
今、疲れ切った気持ちを整えるための旅行をしている。
上高地のそばで迎えた朝は、思っていた以上に静かだった。
夜は涼しくて、少し寒いくらいだったのに、朝6時ごろに外へ出ると、空気がひんやりしていて気持ちよかった。
山の輪郭が静かに光を受け始めていて、その景色に思わず立ち止まってしまう。
ところが、8時になると急に暑くなってきて、「気温のスイッチどこで切り替わったんだろう」と心の中でつぶやいた。
旅の朝は、こういう温度差が面白い。
素泊まりの宿に泊まったので、朝ごはんは簡単に済ませた。
さとうのごはんに中華丼をかけただけなのに、旅先で食べると不思議と美味しく感じる。
外の景色を眺めながら食べるだけで、ちょっとした幸せが静かに胸に広がった。
食後にもう一度外へ出ると、遠くで獣のような声がした気がした。
「クック・ドゥードゥル・ドゥー」みたいな、どこかで聞いたことのあるような謎の音。
もちろん熊じゃないと思うけれど、妙に力強く聞こえて、思わず笑ってしまった。
涼しさと暑さ、静けさと冗談。
その全部が混ざった、不思議で心地よい朝だった。
